いつもの通勤路。
住宅の建ち並ぶその通りには、たくさんの野良猫が暮らしています。
猫のナワバリは狭く100m四方程度だと聞いたことがあります。
だから、だいたいいつもの場所にいつものねこを見かけます。
まんまるに育った三毛猫、前足を一本なくした八割れ、そっくりな親子のトラ猫、置物みたいな白猫。
そんな彼らの中にとても気になる三毛猫がいました。
広い駐車場にぽつんとその猫は居ます。視線の先には一軒のお家。
その家のご主人が帰宅するのを待ち、姿が見えると駆け寄り体をすりよせ甘えます。ご主人もとても可愛がり、玄関先でのイチャイチャと仲睦まじい姿を何度も見かけました。
しかしある頃からぱったりとその三毛猫を見かけなくなりました。
裏手には交通量の多い通りもあり、もしやと心配に思っていました。
ある朝の通勤路、件の家の前を通りかかると、カーテンを開けた日向の窓からあの三毛猫が外を見ている姿がありました。
そっか、家族に迎えてもらえたんだね。
なんだか無性にうれしく幸せな出来事でした。
本年も大変お世話になりました。
世の中は明るい話題が少なく、鬱々とした気配が漂っています。
ですが、目線を変えれば小さくとも幸せは見つけられると思っています。
炊き立てのご飯と湯気の立つお味噌汁。肩までお湯に浸かって思わずこぼす変な声。
しあわせと思う瞬間ってとても些細で日常にあふれてるんですよね。
そんな小さなしあわせに気づき、積み重ねて行きたいものです。
皆々様に良い年が訪れますように。
シフト 矢野