10.27.2015

映し出された事実

その日彼はテレビでとある人物に目を奪われていた。

美しい容姿と、歌唱力。
ステージで一際目を引く存在。

フレディーマーキュリー亡き後、新たなクィーンのフロントマンとなった、ゲイ達者なアメリカ人。
アダムランバート。
彼だった。

「アダムランバート」の画像検索結果

ちょうどその頃、テレビに夢中になっていた彼の傍ら、奥様と娘さんが応募した化粧品のサンプルが届いたとかなんだとか、そんなやりとりをしていたという。

そして、テレビに映る彼の特徴的なメイクに関心を抱いた彼は、ご家族が手にしていたアイシャドウを見逃さなかった。

「adam lambert」の画像検索結果

「俺もアダムのようなメイクを施せばきっと、イケてる感じに変身するに違いない。」
と、なぜか確信めいたものを覚えたという。

ご家族に施しを受け、目の周りをアイシャドウでメイクアップ。
どれほどのイケメンが出来上がるか、ほくそ笑み信じて疑わなかったという。








そして。
間もなく渡された手鏡。
そこに居たのは紛れもない彼だった。















「志村けん 変なおじさん」の画像検索結果

しむら けん。


素晴らしいご家庭をお持ちであり、医師という社会的地位もある彼だが。
自分がどれだけ思い上がっていたのか、歴然たる自力の差を身を持って知ったという。


思い上がった輩はおりませんか。
試しにアイシャドウをどうぞ。





10.22.2015

男祭りin KYOTO #3

湯気発つお味噌汁と納豆かけごはん。
朝の小さな幸せを感じる組み合わせでスタートした最終日。

昨夜の酒を引きずる一行ではあったが、ホテルの朝食を摂り士気を高め遠征に備える。


ここでまたインスタおじさんである。

日頃から破天荒な満腹中枢を持つ彼の胃袋は、昨夜の深酒によるダメージで更に制御不能なっていた。
プレートを埋めつくすお総菜を二皿ほど、ごはんを数杯、仕上げのデザートまで平らげていた。

これだけモリモリ食えるのならば、昨夜のダメージは深刻では無いように思えた。
しかし、チェックアウトを済ませ、比叡山に向け車に乗り込むと状況は一変。



後部座席で虫の息のインスタおじさん。
さっきまで死体だったみたいな顔で弱音とゲップを繰り返す。

重度の二日酔いの身の上に、朝から目に余る暴食。気分が悪くなって当然。
加えて、比叡山を目指す峠道がさらに拍車を掛けたようだ。

事実上、彼の旅は昨夜が最高潮であり、昨夜で既に終わっていた。

その後、低調のまま旅を終える事となるのだが致し方ない。
次の旅への良い教訓となった筈。
手を出すな 見知らぬ酒と かわいこちゃん。
なむ。


さて。
舞台は比叡山。
想像通り、華やかさとは無縁の荘厳とした空気をはらんでいた。

そして、根本中堂(こんぽんちゅうどう)を目指す道中、数年に一度の行事に遭遇する。



各宗派の代表や法主(延暦寺の場合、天台宗座主とよぶらしい)が一同に会し、総会のような事を執り行うらしい。
僧侶の担ぐ神輿で運ばれる座主。様々な位を表す色とりどりの法衣が列をなす様は壮観。
図らずも得をした気分がした。

東塔・西塔・横川と大きく三か所に区分され、それぞれに様々な寺社があり、そのすべてを総称し「比叡山延暦寺」と呼ぶようだ。
すべて回ろうとすればゆうに一日は掛かる所を半日ほどで巡った。

経年と風雨にさらされ傷みの進んだお堂もいくつかあったが、比叡山という自然の中にあってこその説得力を感じた。

天候にも恵まれ、京都・琵琶湖を一望する大パノラマは絶景。



二県にまたがる広大な敷地を巡り、めっきり言葉数も減る一行であったが、最期のミッションが残っていた。
春に一人で訪れ、えらく気に入ってしまった「キッチンよし田」に伺い、絶品おばんざいで旅を締めくくる予定だ。
京都駅に戻り、土産などを済ませ最期の地へと向かう。



開店少し前に到着し、旅の無事を祝し乾杯。
歩き疲れた体に染み入る一杯。
そして、カウンターにずらりとならぶ惣菜の数々に沸く一行。
死にぞこないのインスタおじさんも元気を取り戻したように見えた。



どれを頂いても至極美味。京都を訪れた際は外せない店だと再認識。

新参T氏の、どれも今まで食べた何よりもうまい。との絶賛に、自分のことのように誇らしい気持ちになった。
たらふく頂きこの上ない締めくくりとなり、後は無事帰宅するのみ。

一人残りもう一泊、との企みも、ほとほと疲れ果てた心身では成らず。
この後はニュースも事件もなく、旅は首尾よく終わった。


今回感じたのは、四人で旅するメリット・デメリット、そして、上手な酒との付き合い方に尽きる。
幸い、自身は酒に呑まれることなくこの旅を終える事が出来たが、皆が同じように後悔なく最後まで楽しめる旅であれば尚よい。

年齢に恥じない振る舞いというやつを身に着けたいものですね。

ね?

さて、次の祭りはどんな出会いがまっているのでしょうか。



長々と失礼致しました。
これにて了でございます。










おまけ

ベットサイドにあったメモ帳に大仏を書いてみたけれど、どうやら私、画伯の才があるようです。

目を見ていると不安な気持ちになってきます。



10.13.2015

男祭りin KYOTO #2

AM5:30

怪獣のいななきで目を覚ます。
この旅恒例である為、慣れとは恐ろしい物だと感じる。
が、今回は少々勝手が違った。

インスタおじさん特有である変則的爆音サウンドは健在であるのだが、加えて新参T氏の規則的かつ前者に負けぬ轟音ビートが加わり、凶悪極まりないアンサンブルがうららかな京の朝を汚した。



そんなこんなで二日目。
イノダコーヒー本店で朝食を頂き、開店間もない錦市場をぶらり。


その後、寺町通り本能寺にて新参T氏の朱印帳を手に入れ、南禅寺を目指した。
煉瓦造りの琵琶湖疏水路と寺院という、和洋式が混在するにも関わらず不思議な調和があった。



哲学の道をてくてくと小一時間ほど歩き、道すがらお好み焼と絶品甘味を頂く。

まめかん「きみや」
前回は、あまりの旨さに二日続けて訪れた甘味処。
こぢんまりとしてセンスよい店内と、はんなりとした振る舞いのおねぇさんがとても京都らしい空間。
銀閣寺参道手前、右に少々逸れた辺り。
おすすめです。

そして、近くまで来たものだから銀閣寺に寄る。
人で溢れかえる境内を駆け足で巡り、げんなりと疲れ果てた一行はホテルに戻り夜に備えることに。

ここで一つ誤算があった。
大陸からの旅行客で溢れかえるバスは地獄絵図。
京都駅までの道のり、バスを選択した我々だったが、ここは奮発しタクシーを選ぶべきであったと後悔。
京都は町がコンパクトである為、タクシー料金が安く済む事が多く、この様な目に遭わぬよう積極的に利用した方が良い気がする。



ホテルにたどり着きベットに崩れ落ちる一行。
旅の本筋と言えるはしご酒に備え、英気を養う事数十分。
夕刻が近づき、むくむくと湧き上がる酒呑み根性が疲れ果てた背中を押した。

ホテル近くの旨い焼き鳥屋、そしてぼちぼちのおでん屋と軽く二軒やり、先斗町~木屋町界隈を歩いた。



途中、やけにテンションの高い立ち飲み屋に寄る。たこ焼きをつまみに一杯やり、人懐っこい店員さんと一人意気投合するインスタおじさんを傍観し、頃合い見計らい、高瀬川沿いのディープな界隈へとさらに進んだ。


そして、たどり着いたのがこちら。
「ココボンゴ」


可愛い看板ながら漂う怪しい気配、一見には少々重すぎるドアを恐る恐る開く。
すると飛び込んでくるエキセントリックな店内。

しかし、拍子抜けするほど快く受け入れてくれた。
常連さんが一名と、切り盛りする女性が一人。サブカル色濃い京都らしからぬ佇まい。
緊張も解れリラックスする頃には、異質に思えた店内もステキな空間に思えるから不思議である。
すっかりと京都のアンダーグラウンドな一面にも魅せられた。

お話を聞くと、みうらじゅん氏、ジョジョの作者・荒木飛呂彦氏など、濃ゆい著名人も訪れる名店だという。

タマボンゴ(この日の店主。日替わり制らしい)嬢の気配りと、優しい常連さんのお蔭ですぐに打ち解け図に乗る最年長。
そう、ここでもインスタおじさんである。
途端にピッチを上げ、揚々とグラスを煽る彼は案の定、昨夜の大トラに続いて完全に酩酊状態。


うなだれる五十路。通称インスタおじさん。シェリー酒にこっぴどくやられるの図。


数回目の入洛で、これほどディープな店と出会えたのは幸運だった。
ここならば一人ちょこんと佇んでも寂しくあるまい。

深夜枠に心強い店ができ嬉しい思いであったが、そろそろ良い時間。
明日に備えホテルへ帰らねば。
後ろ髪ひかれる思いで店を後にした。


昨夜に続き、酩酊おじさんをホテルまで運搬しベットに放り込む。
明かりを消す頃にはすでに誰かの寝息が聞こえた。

明日最終日は私の一存で決めさせていただいた、比叡山延暦寺へと赴く。
聞くところによれば、数多の偉人が修行を積む為訪れた巡礼地だという。

京の鬼門の方角に位置し、鎮めるため建てられたという延暦寺。京の街を見下ろす霊峰からは何が見えるのか。

そして眠りはすぐに訪れた。














10.09.2015

男祭りin KYOTO #1

先週に引き続き、夏休みの第二弾を頂きました。
これにて年内の予定は概ね終了です。

この連休を糧に残る数か月、年末に向け存分に勤しむ所存でございます・・・ふぅ

兎に角。
ご迷惑お掛け致しましてすみませんでした。



さてさて。
さすがは京都。はずしまへんな。
五感全てで満喫致しました。

「男祭り」と称し年に一、二度、おっさんが徒党を組んで各地を旅する訳ですが。

と申しましても、夜な夜な繰り広げられる、恍惚とした男同士のぬらぬらした祭りではございません。

酒場を放浪し、寺社仏閣を巡りご朱印を頂き、各地を行脚する至極まっとうな、言わば巡礼者のような旅でございます。
巡礼とはいささか大げさとお思いでしょう。が、酒場とはその土地や人を知るうえで非常に有用であるが故、私にとってそこは聖地と呼ぶに足る場所なのです。

今回は最年少の新参を含め四人での旅となり、新しい場所も巡りつつ、知りうる限り案内しながらの旅となりました。



初日。
日曜日の営業を早めに切り上げ、午後六時半に新幹線に乗り込む。
京都にて石川県から参戦する一名と合流し、前もって予約した「シトロン ブレ」という、河原町辺りの有名なステーキ屋から旅は始まった。



今回の旅で食したその大半において、洗練された味と見目よい料理の数々だったが、その中でも特に印象的だった初日の一発目。
数十日熟成させ、フランス式の揚げ焼で供された500gステーキはあまりにも鮮烈。

実は京都人は肉喰い、という事実を改めて体感した。

期待以上の味に好調な滑り出しとなり、旅の前途に否が応にも期待が高まった。

その後、ワインの店をもう一軒。



まるでビールのようにグビグビと、赤ワインを傾けていた約一名が案の定大トラへと豹変し、がうがうと暴れだす。
呑みなれないワインだったとはいえ、あんまり面倒くさいものだからホテルへと送還することに。

途中、ロビーで転げまわる様は分別ある大人の行動とは言えぬものだったが、酒のニガテな彼にしては皆に歩調を合わせ頑張った結果なのだろう。

部屋に放り込むと、すぐさまトイレに駆け込んでたようだが、そんな彼を尻目に再びホテル近くの居酒屋へ。

さすがに酒は控えめに終えたが、夜中の炭水化物とはなぜこんなにも美味なのだろう。
おこげのあんかけを美味しい味噌汁と一緒に頂く。

お出しの効いたおつゆが染み渡り、初日をすとんと締めくくってくれた。







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