4.30.2015

KYOTO TRIP #2

初日の寺社巡りを終え、大原から京都駅までバスで戻る事にした。
一時間半ほど掛けたどり着いたのは京都駅から5分程のとても綺麗なホテル。

ひと風呂浴び、ゆっくりすべきか否か。
寝落ちで終了という最悪のシナリオを回避すべく、荷物を整理しすぐに四条烏丸を目指した。
今宵目指す酒場はそこにあった。

さぞかし疲れていたのだろう。
市バスで降り立った地はなぜか四条河原町。
目的地の四条烏丸までは約2km程離れている。どうやらバスを間違え、まったくあさって場所に着地してしまった。

もはや落胆を隠せぬ程に精根尽き、おまけに喉はからからである。

しかしここで諦めてはきっと悔いが残る。どこか確信めいた期待を胸にその店を目指した。
道すがらの魅惑的な酒場の数々。
いいじゃんここでさっ、と囁くブラックヒゲメガネの誘惑を振り切りずんずん歩く。

そしてグーグルマップが導いた場所は、既に明かりの消えたオフィス街。
ぽつりとこぼれる明かりを頼りに進むと目的の店がそこにあった。

「キッチン よし田」
京都人目線でお勧め店を紹介する書籍を購入し、事前に熟読した上で必ずお邪魔しようと決めていた場所である。

のどの乾きに耐え兼ね躊躇なく扉を開くと、書籍で見知ったママさんが迎えてくれた。



女性二人で切り盛りする店内。カウンターには常連さんが数組。席に着くなり隣のお客様やママから質問攻めが始まり、予想だにせぬ展開となる。

当初予定されていたプランはこうだ。

私はよそさん。決して好意を求めてはならない。
ひたすら黙々と、ただ旨いものにありつければ上出来。
行儀よく、ひたすら行儀よく・・・

そう心に決め挑んだ筈だった。



が、蓋を開けてみればまるで見当違い。

「おひとりさんやから、適当にプレートにしてだすわ。きらいなもんある?」
などと、心遣いがありがたい。

「どこからきはったんですか?かながわのどこですか?」
隣のカップルさんからは質問が止まず。

「一人旅ですか?観光ですか?どこいかれはったんです?私も寺社巡りすきで全国津々浦々旅するんですよ~ うんぬん・・・」
一人でいらしていた男性にはお勧めの寺社を挙げていただいた。


・・・予定とちゃうやん
だって京都の人はいけずやんか。こんな優しいわけあれへん。

謎の方言が飛び出す程、困惑した。

まったくもって、気さくでフレンドリー。
そういえば書籍にも、京都人は懐に入ってしまえばとても気さくだ。と書いてあったのを思い出した。




そうそう、食を忘れるとこだった。

安定の美味しさであったことは言うまでもなく、供される全ての料理に洗練を感じた。

うまく表現できないが、味が立っている、もしくは素材が立っているというべきか。
シャキッとして、みずみずしく、余計な味がしない。
薄味かと思いきや、しっかりとした風味、コクを感じる。
足し算でなく引き算。なにかしらの予定調和。

そんな印象である。

「うちの料理はパクリやねん。デパ地下の。デパ地下キレイやんか見た目。味は知らんけど」
などと仰っていたが、見よう見まねでできるような味ではないだろう。確かな腕をお持ちの筈だ。

カウンターが埋まる頃には、ママ、おねぇさん、常連さんを巻き込んで店内のワイン在庫が無くなるまで皆がグラスをあおっていた。
気付けば私も酩酊にほど近い。
おねぇさんに、ずいぶんあかなりましたね、なんて微笑み言われ一層頬に熱を感じた。
京都弁ってかわいいなぁ・・・


一期一会っていうやん。
そう言って自らの人生訓まで語ってくれたママさん。

期待の遥か彼方まで楽しませて頂いた。

「ここに来るお客さんはな、99,9%戻ってくんねん。0.1%はワタシがキライな客やからええねん。アンタもまた来るやろ?」

勿論、いずれ必ず。





そして、後半隣に座られたカップルさんがお勧めしてくれたバーに向かった。
先ほどの店のテンションのままずんずんゆく。

が。

「こんばん・・・」

「ご予約いただいてますか?」

・・・嗚呼、やはりここは京都であった。
はたと気づき少々興がそがれた。

後ろ髪ひかれるがもうよい頃合である。明日に備え宿へ戻ることにした。

コンビニで買ったワイン1瓶とつまみの袋が幾つか。
無論、殆ど手つかずのまま泥のように眠っていた。

4.28.2015

KYOTO TRIP #1

早朝、京都へ向け発つ。

まず目指したのは、市内から少し遠い貴船神社。

昨年、過去前例ないスランプに陥り、何かと行き詰った際に訪れ、胸のつかえがすぅっと楽になった気がした。
それを機に物事を前向きに捉えられるようなり、言わば人生におけるターニングポイントとなったその御礼参りとして参拝した。


水神様が祭られているだけあり、瑞々しく清々しい場所であり、加えて天候にも恵まれ陽を浴びた新緑も美しかった。思わず頬が緩むよな、私にとってここは心和む場所。
本宮を参拝し、夏季の風物詩である川床の準備に取り掛かる貴船川を奥宮に向け歩く。


奥宮の神々しさたるや。
あそこは絶対にいらっしゃる。かみさまが。
瞬間、静寂に包まれ別の空間に踏み入ってしまったような。
えも言えず恐怖にも似た感覚を覚える。
きっとこれが畏怖というやつなんだ。
留まりたいけれどゆるされない。そんな独特の空気を含む奥宮を後にし、大原三千院方面へと移動した。


叡山電車で宝ヶ池まで移動し、京都バスで大原を目指す。
くねくねとした山道を行くバスは峠を攻める豆腐屋さながらの走りを展開し、最後部に陣取った私を煽り立てた。
空っぽの胃袋に拍車を掛けるカーブの連続。
嫌なげっぷが喉をあがり始めた頃、まさに間一髪、大原に滑り込むバス。

ほっと胸をなでおろし穏やかな里山風景の中、青ざめたヒゲメガネが向かったのは勿論、めし処。
この旅初の京都飯となったのが「大原リバーサイドカフェ きりん」の京野菜カレー。



カレーを待つ間、黒ラベルの瓶ビールをぐびりとやり、みずみずしい京野菜サラダに舌鼓。早朝から移動続きの疲れた体に至福が訪れた瞬間だった。
そして運ばれた彩美しいカレー。期待に違わぬ味に早くも京の食文化に敬服せざる得なかった。

その後、寂光院を経て、三千院へ。
数人のお客様にお薦めされていた為非常に期待値の高い場所であったが、中高年の先輩方数十人からなる軍団との遭遇により、残念ながら駆け足で逃げるような参拝となってしまった。


苔の庭には可愛らしい地蔵さんが点在し和やかな良いお寺さんであった。

並ぶ茶屋でみたらし団子を頂き茶をすする。
これもまた美味。


時計を見ればなかなか良い時間。
ホテルに戻り夜に備えなければならない。
京都で一人呑みというちょっとした冒険に。

心は既にとある料理屋へと向かっていた。


4.25.2015

改装完了


おかげさまで改装工事終了致しました。




着工して間もなく訪れた店内は、養生をしているのにも関わらず棚や床、椅子や植木にいたるまで全てが何かのクズまみれのひっちゃかめっちゃか。火山灰に埋もれ滅びた街のような変わり果てた姿でありました。

工事前、あらかた掃除を済ませておけば後々スムーズであろうと、まあまあ本気の片付けをしておりましたが、まったくもって徒労となったようです。

その後、意気消沈しながらも予定通り京都一人旅(後に詳細書きます)に発ち、二日間空けた店内がどの様な変貌を遂げたのか、不安と期待が織り交ざりつつ迎えた工事最終日。

旅発つ前より幾らかはマシな状態にはなったとはいえ、お客様を迎えるには相当な労力と時間を要する事は容易に予測できる状況。
がしかし、一日時間を割いて手伝いを買って出てくれた義弟の獅子奮迅の活躍もあり、深夜に及ぶと思われた作業も予想以上に早く終え、営業開始日である本日にこぎつけました。
感謝感謝。



あとは6月入荷予定の商品用棚を待って100%完了となりますが、なかなか悪くない出来栄えです。
不慣なシャンプー台を初め、何かと勝手の違う店内に少々手こずりましたが、一週間もすればスムーズに運ぶように思います。

常連様にも、シックになってなかなかステキ、などとお世辞を頂き、ほくほくと報われる気持ちが致します。
大した店ではありませんが、皆様に少しでも快適にゆっくり過ごしていただければ幸いです。

廃品を引き取ってくれた友人、ソファや家具を引き取ってくださったお客様方、皆様のおかげで滞りなく事を進めることが出来ました。

本当にありがとうございました。



そして。
京都の土産話が沢山ございますが、それはまた後ほど・・・

4.18.2015

祭りのあと  Noel Gallagher - The Dying of the Light

行ってまいりました。
「Noel Gallagher's High Flying Birds」
武道館公演


心待ちにした分、過ぎてしまえばいささか寂しくもあります。

ソロ作品からの選曲もさることながら、会場を大いに沸かしたのはやはりオアシス時代の曲でした。
ノエル流アレンジのなされた「champagne supernova」も印象的であったし、最期を飾った「Master plan」も通好みで唸らせるものがあった。

会場が待ちに待ったであろうピアノの伴奏が鳴り、辺りに歓声が上がる。
「Don't Look Back in Anger」
あの一体感に肌は粟立ち、すでに枯れた声を張り上げた後、こらえきれず涙しました。

期待の反動か、満足をすっ飛ばして疲弊したと言った方が適切かもしれません。

Fで始まりKで終わる単語を連呼しながらも、そこに含まれた微量の好意みたいなものも感じられ、案外ファンを大切にする人なのだと思える節もありました。

機会があればまた是非足を運びたいです。そして贅沢を言えばリアムの声も聴きたい・・・なんてのは叶わぬ夢でしょうかね。


夢の後、立ち寄った大賑わいの新橋にて意中の酒場に振られ、仕方無しに飛び込んだ店の味にげんなりし、終電ほど近い東海道線では酩酊した女性の吐しゃ物を浴びせられ、どうやら万事良好とはなりませんでした。

とんだケチがついてしまったなあ
まったく。

自分の力量を誤らずお付き合いすべきです。酒というものは。

とか、言ってみる。
とか、言ってみる・・

終電付近は様々な危険をはらんでいるのですね
気をつけたいと思います。加害者ともならぬように。




新作アルバムのお気に入りも演奏してくれました。エモーショナルで美しいメロディーです。

4.12.2015

手始め   John Butler Trio "Spring to Come"

改装工事まで後一週間と迫った明日、一足先に入り口頭上部の看板を撤去することに致しました。

そして、シャッターにロゴとインフォメーションを印字し、営業時にはウィンドウ部分に看板代わりの印字をすることに。

今更なんですが、15年間ずっと既存の看板が気に入らなかったのです。
開店準備期間はバッタバタと慌ただしく、すべての部分にじっくり目を通すなど到底叶わず、いざ取り付けてみたものの自分の趣味とは違う代物にガクリと肩を落とした覚えがあります。
まあ仕方なしと目をつぶって今日に至りますが、やっと明日憂いが晴れると思うと至極楽しみであります。


さてさて。
店内の家具(店先にあったベンチ、客待ちスペースソファなど)や不要になった雑貨類など、捨てるならばどなたかに使って頂きたいという事で、既に数点お譲りすることが決まっております。
まだいくつか処分を検討しているものがあり、こちらのブログにて改めてお知らせしたいと思っております。もしなにかあればお声かけ下さい。



関係ないけれど
今朝、自転車通勤中


ウォッシュ!
ウーーォッシュ!ウォッシュ!


って叫びながら競歩ランしてる若者がいました。
どうしたんだろう、んこでもふんじゃったかな


春ですね。









4.09.2015

限りなく黒に近いグレイ


40過ぎのおっさんが二人、なにやら良い雰囲気で酒を酌み交わしている。

そのグラスに注がれるのは、淡いピンク色のロゼワイン。

シャンパンなどに用いる細く華奢なグラスをくゆらす二人。

そして、ぺたぺたきゃっきゃと互いの写真などを撮る。

容姿は共に、ほくそ笑むヒゲメガネ。


恐らくSNSに投稿するであろうその写真をアナタは目撃したとする。

どうだろう。



なんとも男色めいたおぞましい光景が浮かんだ筈である。

うち一人はアダ名をインスタおじさんという。
数々のSNSに精通し、とりわけインスタグラムでその触手を張り巡らせ狡猾にエモノを捕えんとする様から、人はいつしか彼をインスタおじさんと呼ぶようになった。

そして、あろうことかその写真に写るもう一人を、彼氏、と呼ぶ。しかもタグ付きで。
芸人ならぬゲイ人を嬉々として演じているようだが、到底笑えない絵面である。
本当はスキでしょ?こういうのなどと悪びれもせずいう
ちっとも好きじゃない。

私の容姿を思えば恐らく、あらやっぱりそうなのね、とやけに納得をされること請け合いなのである。
それが自分でもわかるが故。


断固

やめていただきたい。

だがきっと願いは聞き届けられることなく、彼のインスタグラムの世界で私は真性ソッチの人と成り果てているのだろう。



そんな訳で。
今宵もどうやら行かねばならないようです。インスタおじさんと共に夜の街へ・・・

参考画像。
注目は右の人物の表情。感情がよく表れています。なにかを悟ったのでしょうか。

4.08.2015

OAZUKE One Day More


散々揺れに揺れたスマホ問題でしたが。

その前日まで様々な方からのインプレッションをお聞きし勇んで店頭に向かいましたが、結果は残念。7月以降に持ち越しという事に。
お察しですが、契約月がうんぬん、違約金がうんぬん・・・
現時点でのりかえとなると計2万円程の出費となるようで、馬鹿馬鹿しくなって手続きの途中で止めて頂きました。

違約金云々に関する新たな法案もあるようで。あのまるで詐欺まがいな契約規約は早々に改善していただきたいものです。
まったく、ぷんぷんです。

手ぶらで帰るのもしゃくにさわるものだから、違約金以上のジーンズを購入。
はて、これは果たして得であるのか、ただの浪費ではあるまいか、などという疑念を振り払いつつ帰路についたのであった。


さて。
WOWOWのプログラムで埋め尽くされているHDDを掃除すべく、連休二日目午前より夕方に渡り二本の映画を鑑賞。
「ビックフィッシュ」
「レ・ミゼラブル」
の二本。

ビックフィッシュは随分と前に一度観たきりなので、ほぼ初見のような感覚でした。ユアンマクレガーと、スティーブブシェミが出ていたんだっけ?そんなところまですっかり忘れていた。
夢のあるストーリーと、ティムバートンらしいグロテスクだけどかわいい独自の映像がなかなか楽しめました。
愛の成せる嘘。そういうモノもあるんだな。


そして数年前、なにかと高感度な友人から薦められていた「レ・ミゼラブル」。
ミュージカル仕立てが苦手であった為、随分と鑑賞まで時間が掛かってしまいましたが、これがまったくの食わず嫌い。

ブラボー。

その一言に尽きます。

映像も勿論楽しめたし、アンハサウェイはやはり美しい。
けれど、一番は音楽。
唄とは本来、感情の、魂の叫びなのだと。
最後のシーンなどは、心をぶんぶんと揺さぶられました。


映画って良いものですね。
小雨交じりの冴えない休日にいろどりを与えてもらいました。








ご覧になっていない方向け。
このオスカー授賞式は相当評価高かったみたいですね。

初夏の陽気から一転、真冬のような雨が降っております。ご自愛ください。

4.03.2015

林檎とジャパンメイドとの狭間   Elliott Smith - Miss Misery

あらかたその役目を終えたスギ花粉にとって代わり、無慈悲な飛散を開始したヒノキ花粉。

もうなんにも効きません。抗えません。参りました。ごめんなさい。


GWが終わる頃までの戦いとなりますが、すでに敵前逃亡も辞さないところまで追い詰められつつあります。
気を取り直し、この不毛な戦いに勝利すべく奮起せねば・・・


そんな中、他にも頭を悩ませている事があります。
現在使用しているスマートフォンのバッテリー劣化が顕著となり不満を覚えております。

新規購入を考えているのですが、現在店(シフトヘア)で使用中のネット環境(KDDIひかり)に加入しているため、現在のソフトバンクからAUに乗り換えることにより結構な割引が受けられることもあり、MNPでの移行は確定と考えております。

そして一番の悩みの種となるのが、三世代にわたり使い続けてきた「iphone」にすべきか、初の試みとなる「Experia」にすべきかという点です。

様々な比較がなされている両機ですが、勿論引き続きアイフォンを使うのならば何の苦も無く、すぐにでも変わらず使いこなせることでしょう。ですが、元来ソニーっ子である私にとって、今回の比較対象となる「Experia Z3」のデザイン、操作感が実に魅力的に思えて仕方ないのです。
今まで迷いなくアイフォンを継続していましたが、初めて他機に触れ魅力を感じたとも言えるし、またアイフォンに鮮度を感じなくなってしまったとも言えます。

兎に角。
翌休日に答えを出そうと考えております。


・・・けれども、
秋になれば「iphone6s」が発売されるわけですよ
待てるかな、待てるかな、あと半年も




うん
無理だなっ










お客様が最近「グッドウィルハンティング」を観なおしたようで。私も何度となく号泣させられた名作です。

故ロビンウィリアムスの好演も勿論ですが、スカイラー役を演じたミニードライヴァーの表情豊かでスマートかつユーモアある演技が魅力的でした。

この作品、音楽もとても素晴らしいです。
特にエンディングのエリオットスミスの曲。
マットディモンがオンボロの車でカリフォルニアへ向けハイウェイを行くシーンで流れますが、音楽と映像がぴたりと合致する印象深いシーンです。

すさまじい強風が吹き荒れておりますが、どうぞお気をつけて。良い一日をお過ごしください。

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